Intro to Blender

blender.org - Home of the Blender project
Blenderはオープンソース(GPLライセンス)な3D開発ソフトウェア群です. Blenderを使えばモデリング,リギング,アニメーション,シミュレーション,レンダリング,合成,モーショントラッキング,映像編集,ゲーム開発を行うことが出来ます. 今回はグラスと水のフォトリアルなCG画像を作成することを目標に,最小限必要な知識を記録して行きます.

インターフェース

  • Header: Blender全般の設定を行えます. レンダリングエンジンの変更はここで.
  • Workspace: 文字通り作業場所です. 編集中の3DCGが表示されます.
  • Tool panel: オブジェクトをモデリングする際に役立つツールが揃っています.
  • Number Panel: オブジェクトの座標や回転角など,数値データが集まっています.
  • Timeline: アニメーションを付ける際の時間軸になります.
  • Outliner: 編集中のオブジェクトが階層ごとに一覧表示されています.
  • Properties: オブジェクトや空間,レンダリングに関する設定が集まっています.
Blenderはマウスとキーボードの両方を使ってCGの物体(オブジェクト)を編集して行きます. Workspaceで"T"キーを押すとTool Panelが表示/非表示されます. "N"キーを押すとNumber Panelが表示/非表示されます.
分割 Split
結合 Join
画面レイアウトは自分の好みに変更することが出来ます. 各パネルの右上と左下角にカーソルを持ってゆくと,カーソルが十字形に変わります. そこでクリックをしたままドラッグ操作を行うとパネルを分割(Split)することが出来ます. 同じ角で今度は分割する時と反対側へドラッグをすると,パネルを結合(Join)することが出来ます. それぞれの操作はパネルの境目で右クリックをして,右クリックメニューから選択することも出来ます. その後,各パネルの角にあるセレクタからお好みのパネルを選択します(左画像参照).

作業の流れ

CG画像を得るまでには大まかに次の工程を踏みます.
  • オブジェクトの形をつくる
  • オブジェクトの質感を決めたり表面の絵柄を貼り付ける
  • カメラやライトを設置する
  • 必要ならばアニメーションをつける
  • レンダリングする
  • 納得できるまで微調整を加えてレンダリングを繰り返す
  • 必要ならばコンポジット(デジタル合成)を行う
順番は特にありませんが,レンダリングやコンポジットといった作業は後半の作業になります. オブジェクトをつくって,撮影スタジオを用意(カメラやライトを設置)し,いざ撮影(レンダリング). 必要に応じて撮影(レンダリング)後にデジタル合成(コンポジット),といった流れを頭の片隅に置いておくと作業の迷子になりません.

視点の移動

アングル
(第3ボタン)
視点移動
(第3ボタン + Shift)
ズーム
(マウスホイール)
マウスホイールを押し込んで(第3ボタンを押して)マウスを動かすと視点を自在に動かすことが出来ます. この時,Shiftキーを同時に押すと視点が移動します. マウスホイールを回すとズームできます. Workspace内をクリックすると3Dカーソルが移動します. 3Dカーソルはオブジェクトを追加/編集するときの基準点になります. Shift+Cで3Dカーソルを原点(0,0,0)へ戻すことが出来ます. Alt+Home(AltとHomeキーの同時押し)で視点の中心を3Dカーソルへ合わせることも出来ます. Homeボタンの無いMacではFn+←キーがHomeボタンに相当します.
正面 (テンキー 1)
右 (テンキー 3)
真上 (テンキー 7)
テンキーの0キーでカメラの視点に切り替わります. 構図を決める時に便利です. テンキーの1キーで正面を見ることが出来ます. 同様にテンキーの3キーで右を,7キーで真上を見ることが出来ます. テンキーの無いキーボードを使っている場合は,"File" > "User Preferences"で環境設定を開き,"Input"タブを選択して"Emulate Numpad(テンキーをエミュレートする)"にチェックします. "Save User Settings"をクリックして設定を保存することでテンキーで無い数字キーにテンキーの機能が割り振られます.
Orthographic
平行投影
Perspective
透視投影
テンキーの5(EmulateNumpadにチェックがある場合は数字キーの5)で投影法を切り替えることが出来ます. 平行投影(Ortho)は3Dオブジェクトのサイズを正確に表現できます. 透視投影(Persp)は現実世界と同じように遠近感があるため形の歪み無く表現できます. 上の画像2枚はどちらも同じ場所から投影法のみを変えて撮影したものです.

オブジェクトの選択,追加,削除

選択

Workspace内のオブジェクトを選択する場合は,選択したいオブジェクトにカーソルを合わせて右クリックします. 選択されたオブジェクトはオレンジ色にハイライト表示されます. Aキーを押すと選択が解除されます. 何も選択していない状態でAキーを押すとオブジェクトを全選択できます.

追加

Shift+AでWorkspaceへオブジェクトを追加することが出来ます. 平面や球,立方体などのような基本的(プリミティブ)な立体図形は表示されるメニューの"Mesh"という分類に入っています. 他にもカメラやライトなどレンダリングに欠かせないオブジェクトの追加も可能です.

削除

オブジェクトが選択された状態でXキーを押すと,そのオブジェクトを削除するか,確認が表示されます. 続けてXキーを押すか,Deleteを選択するとオブジェクトが削除されます.

オブジェクトの移動と加工

Scale
Rotate
Grab

Scale

オブジェクトを大きく,あるいは小さくするにはスケール(Scale)します. オブジェクトを選択してからSキーを押すとScale出来ます. マウスを動かすとそれに応じてオブジェクトのサイズが変化します. 好みの大きさになったらクリックして決定します. キャンセルしたい場合はEscapeキーを押します. Sキーを押した後にX,Y,Zキーのいずれかを押すとそれぞれ対応する軸に固定されます. またSキーに続けて数値を入力することも出来ます. 例えば,X軸方向だけ2倍にスケールしたい場合は"S X 2 Enter"と入力します.

Rotate

オブジェクトを選択してRキーを押すと回転(Rotate)出来ます. スケール同様,Rキーを押した後にX,Y,Zキーの何れかを押すことで回転軸を決定出来ます. 回転角を度数で入力することも出来ます. 例えば,Z軸を基点に45度回転させたい場合は"R Z 45 Enter"と入力します.

Grab

オブジェクトを動かしたい場合はオブジェクトを掴みます(Grab). オブジェクトを選択してからGキーを押すとオブジェクトを動かせます. 他2つと同様X,Y,Zキーの何れかを押して,動かす軸を決定することも出来ます. 移動量を数値で入力することも出来ます. 例えば,Y軸方向に5だけ移動させたい場合は,"G Y 5 Enter"と入力します.
オブジェクトの加工を行う時は"ピボットポイント"に注意しましょう. ピボットポイントの選択はWorkspace下のメニューから行えます(左画像). ピボットポイントとは"オブジェクトを加工するときに基準となる点"のことです. 試しにオブジェクトを選択してスケールして(Sキーを押して)みましょう. ピボットポイントが"3D Cursor(3Dカーソル)"の場合,3Dカーソルの位置を基準点にオブジェクトの大きさが変化します. "Bounding Box Center(縁取り中央)"にすると,オブジェクトの中央を基準点に大きさが変化します. 複数のオブジェクトを選択してスケールする場合,"Individual Origin(各々の原点)"ならばそれぞれの原点を中心にスケールされますし,"Median Point(中間点)"ならば選択されたオブジェクト群の中央を中心にスケーリングされます.

オブジェクトモード/編集モード/スカルプチャモード

  • オブジェクト自体を編集する場合はオブジェクトモード.
  • オブジェクトの頂点,辺,面を操作する場合は編集モード.
  • オブジェクト表面を彫刻のように編集する場合はスカルプチャモード.

オブジェクトモードは今まで利用してきたモードです. Workspace内にあるオブジェクトの大きさを変えたり,位置を変えたり,削除する場合はこのモードを利用します. オブジェクトの頂点や辺,面を編集したい場合は編集モードへ切り替えます. Tabキーを押すごとにオブジェクトモードと編集モードが切り替わります. 現在のモード名はWorkspace下に表示されます. 編集モードでは図形を押し出したり(引き伸ばしたり),面を削除したり,辺を追加できたりします. 編集モードでは右クリックで頂点を選択することが出来ます(左上画像). Alt+右クリックで辺を選択すると,ひと繋がりの辺全てを選択することが出来ます(右上画像). 頂点(Vertex)以外にも辺(Edge)や面(Face)も選択可能です. 選択箇所の切り替えはWorkspace下のアイコンで行います(左下画像). もうひとつのモード"スカルプチャモード"はWorkspace下のモード一覧から選択します(右下画像). スカルプチャモードではオブジェクト表面を滑らかにしたり,部分的に凹ませたりと,彫刻製作のような操作が行えます.

押出とマージ

Extrusion

"押出(おしだし: Extrusion)"とは金属やプラスチック加工における押出成形のCG版です. 図形の形を引き延ばす操作です. 編集モードでEキーを押すと,選択中の頂点と辺を押出すことが出来ます. 百聞は一見にしかず. 右のアニメーションをご覧ください. Shift+Aで円オブジェクトを追加. Tabキーで編集モードへ切り替え,Eキーで押し出しします. この時続けてZキーを押すとZ軸方向にのみ押し出すことが出来ます. Z軸は高さ方向なので,円を高さ方向へ押し出した図形=円柱をつくることが出来ます.

Merge

"マージ(Merge)"とは複数の頂点をひとつにまとめる処理のことです. 編集モードの時にAlt+Mでマージオプションを表示できます. 右のアニメーションはAlt+右クリックで円柱下部の辺(円を構成する辺)を選択した後,Eキーで押し出しをしています. Eキーを押した後にSキーを押すことで円柱の底をすぼめています. これは押し出した頂点をスケールしているからです. 適当な大きさにすぼまったらクリックをして変更を決定します. その後Alt+Mでマージオプションを表示し,"At Center(中央でマージ)"を選択することで,選択された頂点を真ん中でマージすることが出来ます.

インスペクタ

インスペクタには各種設定項目や編集項目が集まっています. レンダリングの設定やワールド(CGオブジェクトが存在している空間)の設定から,オブジェクトの質感,更にはシミュレーションの設定まで,あらゆる項目がタブごとに分けられています. 機能が多いので,焦点を絞って説明します. グラスと水のフォトリアルなCGを作成する上で気にすべきインスペクタの項目はカメラマークのレンダリング設定,地球儀マークのワールド設定,レンチマークのモディファイア(オブジェクトに施す変更),球体マークのマテリアル(質感設定),ボールが跳ねているフィジックス(物理シミュレーション設定)です. ここでは試しにオブジェクトの厚みを調整するモディファイアを紹介します.

例えば,インスペクタ上部にあるモディファイア(レンチマーク)のタブをクリックしてみましょう(中央付近,鎖マークの右隣). オブジェクトを選択してから"Add Modifier"メニューをクリックすると,モディファイア一覧が表示されます. 試しに,その中にある"Solidify"を選択してみましょう(Yキーを押しても選択出来ます). いくつか設定項目が表示されます. "Thickness"の値を変更して見ましょう. 項目の上でマウスを左右にドラッグさせても良いですし,項目をクリックして数値を入力しても良いです. SolidifyモディファイアのThicknessはオブジェクトの厚みを変更します. これはグラスを作る時に重宝する機能です.

表示切替

表示方法は次の6通りあります. 切り替えはワークスペース下のメニューから行えます.
  • Bounding Box: 縁取り枠
  • Wireframe: ワイヤフレーム
  • Solid: ソリッド
  • Texture: テクスチャ
  • Material: マテリアル
  • Rendered: レンダリング
ワークスペース内にカーソルを置きZキーを押すと,ソリッドとワイヤフレーム表示を切り替えられます. またShift+Zキーでレンダリング表示へ切り替えられます. ワイヤフレームやソリッドと呼ばれる表示方法は面や線,点などで立体を表現してくれるため,オブジェクトの形を編集するときに適しています. テクスチャとは立体表面の"絵柄"のことで,これを含めてオブジェクトを表示してくれるようになります. マテリアルはオブジェクトの質感を表現してくれます. オブジェクト表面に光沢があれば磨かれた金属の質感が出ますし,表面が荒ければプラスチックの質感が出ます. このようなオブジェクトの材質を再現する方法をマテリアルと呼びます. レンダリング(Rendered)はレンダリングした結果を表示してくれます. ライトの位置やカメラの位置などの最終的な演出の時に適した表示方法です. レンダリングには時間がかかるため,始めはとても荒い画像が映りますが,時間とともに映像が鮮明になって行きます.

レンダリング

レンダリングを行うにはインスペクタを操作します. カメラマークのレンダリング設定項目(最初に表示されている項目)の中から"[カメラマーク] Render"というボタンをクリックすればレンダリングが行われます. レンダリングを行う前にワークスペース内にカメラが追加されているかを確認しましょう. また,適切な照明が無いとレンダリング結果が残念になってしまうので,レンダリングをする前に表示方法(前項目)を"レンダリング"に切り替えて簡易的にレンダリング結果をプレビューしながら微調整を行うと良いでしょう. インスペクタではレンダリングに関する様々な設定を行うことが出来ます. 解像度や品質の変更はもちろん,アニメーションの場合はフレームレートや動きによるブレ具合(モーションブラー)といったことも設定できます. 他にもたくさんの設定項目がありますが,初期設定でレンダリングしても全く問題ありません.
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