LaTeXを使う

LaTeXとは文書整形を行うソフトウェアである. これは"エル,エー"とギリシャ文字"タウ,イプシロン,カイ"であるので,ラテックとかレイテックとか読もう. ひょっとするとラテックスと読んでしまうかもしれないが,それは生ゴムの原料も指すので,間違いでは無いだろうが,適当とは言えないように思える. ちなみに私はラテフと呼んでいる. まぁ人それぞれである.

LaTeXとは

$$ {\Huge \LaTeX} $$
文書整形と聞くとワードプロセッサ(ソフトウェア)が思い浮かぶ. OpenOfficePages,Wordはよく見かける. LaTeXはその仲間である. 文書をまとめ,フォントやそのサイズを変え,画を貼り,大きさを変える. 文書の読みやすさを追求するから文書を整形する. それを行なえるソフトウェアが,ワードプロセッサであったりLaTeXであったりする.
ワードプロセッサとLaTeXの違いは,前者は整形の結果を直接目で見える形として編集するのに対し,後者は文書や画といった部分に構成を与えることで整形する所にある. ワードプロセッサの詳細は割愛するとして,部分に構成を与えるとは,はて?
何ら難しいことではない. 文書にはタイトルやサブタイトル,著者名の欄,本文があり,時に脚注を用いたりする. これらが今言う構成である. つまり,この文はタイトルである,これは著者名である,ここが本文である,注釈や脚注はここに入れる,といったことを示すことで整形するのだ. 構成を示すためには,ある特別な呪文を用いる. それはマークアップ言語と呼ばれ,LaTeXはそれを読み込んで,文書の構成を解釈し,その結果として整形された文章を出力する. ここではそのマークアップ言語を使って書いた文書のことをソースコードと呼ぶことにしよう. ソースコードにはマークアップ言語で構成を与えられた本文が記されている,ということだ.
ワードプロセッサの普及した今,それは面倒な作業に思われるかもしれないが,使うことで損することは無いと言える. それだけメリットもあるのだ. ソフトウェアの世界で自然淘汰は当然のこと. 1980年代に登場したこのLaTeXが今なお使われていることには,それ相応の理由があって然るべきなのだ. さて,今我々はLaTeXの世界を垣間見た. これからやることはとてもシンプル. ソースコードを書く. ただそれだけである. あとはLaTeXに任せれば良い.

ソースコードを書く

ソースコードはプリアンブル本文の2つから成る.
  • プリアンブルには,これから書く文書の基本情報を記す. A4用紙にするだとか,文字の大きさはこの程度とかを記す.
  • 本文は文字通り主役となる文書を記す場所である.
ソースコードはどんなテキストエディタでも書くことが出来る. OSに付属するテキストエディタでも,EmacsやViでも,使い慣れたエディタを使える. LaTeXのメリットその1である. ソースコードを書いて,ファイル拡張子を.texとか.ltxとして保存するだけである.
上に例として示したソースコード(ファイル名は"LaTeXを使う.tex")をLaTeXに渡すと,下のようなPDFファイルを受け取ることが出来る. ソースコードを見ると,begin document(文書の始まり)とかsection(節),それからend document(文書終わり)といった呪文が見える. これらがマークアップ言語であり,文書に構成を与える言葉だ. 結果を見るとその意味は一目瞭然. ソースコードで指定した通りに整形された文書が得られている.

LaTeXを使う

LaTeXにて文書を書くための,ひと通りの流れ.
ソースコードを書く → LaTeXに読み込む → 整形された文書を得る
ソースコードが書けたらLaTeXや関連プログラムに読み込ませて整形された文書を得よう. ソースコードがちゃんと書けていれば,LaTeXは素直に整形された文書を渡してくれる. もし,マークアップ言語に間違いがあったらLaTeXはそれを正直に教えてくれる. 間違いを直せば整形された文書を渡してくれるようになる. この時手渡される文書は.dviとか.pdfといった拡張子のファイルである. LaTeXが整形してくれる文書の品質はとても高いため,出版物にも用いることが出来る. LaTeXのメリットその2である.

DVIとPDFファイル

DVIとはDevice Independent(機器には依存していません)の略で,文書構造を機器に依存しない形で記録しているファイルである. これはLaTeXが作ってくれるので,深入りする必要は一切ない. LaTeXを使うとこの名前を見るので,一応説明してみた次第にある.

PDFはすっかり有名になった.Portable Document Formatの略であり,これはAdobeシステムズという会社が開発した,デジタル文書の形式である. 特徴は,どんな機器であってもほぼ同じ整形(レイアウト,状態)の文書や画を閲覧出来ることである. Adobe Readerと呼ばれる閲覧ソフトウェアがあれば文書を見ることが出来る. 文書を配布したりプリントするならばこの形式にすると便利であろう.

一度LaTeXで文章を書いてしまえば,上に示した2つのファイルへはいとも自在に変換できる. LaTeXは変幻自在でもあるのだ. LaTeXのメリットその3である. 下にその様子を示した図を貼り付ける.
画像作者:Alessio Damato, ライセンス:CC BY-SA 3.0
上の画の中で赤字がファイル形式,青字はプログラムの名前である. 赤字のファイルを青字のプログラムに読み込ませると矢印で結ばれたファイル形式へと変換出来ることが分る. ところで,画の中LaTeXの上に見えるTeX. これはLaTeXの親に当たる. TeXなくしてLaTeXなし. 次の節にて説明しよう.

TeX

$$ {\Huge \TeX} $$
かつて,数学者/計算機科学者のDonald Ervin Knuth氏がコンピュータアルゴリズムに関するある一冊の本を著したのだった. しかし,彼はその組版の仕上がりを気に入らなかった. 当時の組版はあまり美しいものではなかったのだ. そこで彼は,美しい組版を行うことのできるソフトウェアを作る決心をした. あらゆる調査を行い,数々のフォントをつくり,極めてバグの少ない優れたソフトウェアを作り上げたのだった. それは数式を美しく描く,出版に適した組版ソフトウェア,TeXの誕生である. LaTeXはこのTeXの子に当たるソフトウェアで,TeXにマクロパッケージなる機能が加わり,より簡単に文書整形が行えるようになっている. LaTeXの作者はLeslie Lamport氏. 我々はDonald氏とLeslie氏の苦労の賜物を,フリーで利用できるのである. ありがたいことこの上ない話だ.フリーでの利用.LaTeXおよびTeXのメリットその4である.
ところで,Donald氏がTeXを作るにまで至った本とは何かと言えば,コンピュータプログラミングの世界では非常に有名なあのThe Art Of Computer Programmingである(よくTAOCPと略記される). 私の手元にも一冊ある. 我々も彼らの情熱に応えて,美しい文書を書いてゆこうではないか! その他,TeXに関する面白い小話がいくつかある. 詳しくはWikipediaを覗いてみよう.

次は...

かくして,LaTeXを使うことにより美しい体裁の文書を作成することが出来ることを紹介した. 次のステップは自分のPCにLaTeXをインストールすることである. 詳細は次の記録に記すことにする. 対象OSはMacOSX,Ubuntu,Windowsを予定する. 次の記録が公開されるまで待ちきれない人は各自インターネットを用いて調べていただきたい.
次回の記録: LaTeXのインストール
7540381362442665237 http://www.storange.jp/2013/06/latex.html http://www.storange.jp/2013/06/latex.html LaTeXを使う 2013-06-22T16:51:00+09:00 http://www.storange.jp/2013/06/latex.html Hideyuki Tabata 200 200 72 72