Imaginary Number

日本語では"虚数". 虚数は,その頭文字の"i"と記され,以下のように定義される.
$$ i = \sqrt{-1} $$
これはどういうことか? 上式の両辺を2乗すると,なぜ"虚"なのかが分かる.
$$ i^2 = -1 $$

虚数$i$とは,2乗すると$-1$となる数であることが分かる. しかし,そのような数は実数の世界には存在しない. 故に虚な数と呼ばれる. 英語では"想像上の数=Imaginary Number"と呼ばれる.

皮肉にも,このように無理矢理定義された虚数は,今までコツコツと築かれてきた実数よりも有効な数であることが知られている. なお,実数と虚数を含む集合を,複素数と呼んでいる. 英語では"Complex Number"と書く.

$$ a+ib $$
の形をとる. ここで$i$は虚数である. $a$は実部(Real Part)と呼ばれる. $b$は虚部(Imaginary Part)と呼ばれる. 虚部が0なら実数となる. 実部が0なら純虚数となる. 実数でもあり虚数でもある数は0だけである. 複素数には四則演算が適用出来るようになっている. 加算と乗算は,
$$ (\alpha+i\beta)+(\gamma+i\delta) = (\alpha+\gamma)+i(\beta+\delta) $$ $$ (\alpha+i\beta)(\gamma+i\delta) = (\alpha\gamma-\beta\delta)+i(\alpha\delta+\beta\gamma) $$

となる. 除算も,分母が0でなければ行え,結果は複素数となる.

現代テクノロジーと分類される類の技術には,この複素数を用いて導き出された数々の事実が利用されている. 不思議なことに,この複素数を用いた方が現実の現象が説明しやすいのだ. コンピュータ,通信,電気といった分野にも頻繁に顔を出す. 公理と証明により厳密に導き出されてきた実数の世界を裏切るかの如く現れた集合,複素数の実用性. これを考慮すると,Greg Egan著"Dark Integer"のような事態に陥ってもおかしくないのではないか,と思いたくなる.

さて,下に2つ問題を出す.
  1. $ \sqrt{i} $
  2. $ i^i $
1の解は複素数となるが,2の解は実数となる. 虚数の虚数乗は実数となるのだ. これも驚きだ. 虚数との生活は驚きの連続であろう. さて,解の導出の一例は次のようになる.

$ \sqrt{i} $の解

$ \sqrt{i} $を$ x $とおけば,$ x^2=i $であることが分かる. ここで$ i $を次のように考える.
$$ \begin{aligned} i &= i + \frac{1}{2} - \frac{1}{2} \\[1.5em] &= \frac{2i+1-1}{2} \\[1.5em] &= \frac{2i+1+i^2}{2} \\[1.5em] &= \frac{\left(i+1\right)^2}{2} \end{aligned} $$
つまり,
$$ x^2 = \frac{\left(i+1\right)^2}{2} $$
ここで両辺を1/2乗する(すなわち平方根を取る)と,
$$ \begin{aligned} x &= \frac{i+1}{\sqrt{2}} \\[1.5em] &= \frac{\sqrt{2}}{2}\cdot\left(i+1\right) \\[1.5em] &= \frac{\sqrt{2}}{2}+i\frac{\sqrt{2}}{2} \end{aligned} $$
と複素数の形をした解を得られる. なお$ \frac{\sqrt{2}}{2} \approx 0.707 $である.

$ i^i $の解

$ i $は,長さ1,偏角$ \pi / 2 $[rad]の複素平面上ベクトルと見なせる. よって,
$$ i = \cos{\frac{\pi}{2}}+i\sin{\frac{\pi}{2}} $$
これにEulerの法則を適用すると次式を得る.
$$ i = e^{i\frac{\pi}{2}} $$
問題は$ i^i $であるので,上式の両辺を$ i $乗すれば,
$$ \begin{aligned} i^i &= e^{-\frac{\pi}{2}} \\[.5em] &\approx 0.207 \end{aligned} $$
と求まる.
6348272297007441281 http://www.storange.jp/2013/09/imaginary-number.html http://www.storange.jp/2013/09/imaginary-number.html Imaginary Number 2013-09-08T21:06:00+09:00 http://www.storange.jp/2013/09/imaginary-number.html Hideyuki Tabata 200 200 72 72